本田商店
一般家庭で出来る現実的な米の備蓄について考える③~「お金を払って米屋に保管してもらおう」は現実的か?~
家族経営の町米屋が考える「お米の備蓄」シリーズ。第3回です。 前回の記事はこちら。
米を備蓄しなきゃ!でも自宅で場所は確保出来ない…
そうだ!米屋に保管してもらおう!
いえいえ、なかなかそうもいかんのですよ…
お米の保管には場所が必要ですね。さらに、品質の保持を狙うのであれば年間を通して冷房の効いたスペースに置いておくのがベターです。
ところで、お米の保管ってどれくらいの場所がいるんでしょう?

お米の梱包単位といえば、スーパーでもよく見る5キロ詰めや10キロ詰めを想像されると思いますが、大量の保管となると30キロ詰めが一般的です。農協・生産者・米屋などの業界でも流通単位は30キロ詰めが原則です。
この30キロ袋、米を入れた状態でどれくらいの大きさだと思いますか?
縦70㎝×横40㎝×厚20㎝(おおよそ)
バカでかくはないにせよ、そこそこ大きいんですよ。
これを半年ないし1年同じ場所に置いておくと考えて下さい。さらに、消費量は各々異なるにせよ、これを5袋・10袋・20袋と置くと考えて下さい。今度は重さのことも考えなくてはなりません。
こりゃあ大変だなぁ…
と、思ったそこのアナタ!それは米屋とて一緒なのですよ!(笑)
仮に、あなたが弊店にお越しになり、家族皆で食べる米1年分で30キロ袋×10袋を保管して下さいと言ったとします。
30キロ袋は寝かせて積み重ねられますが、せいぜい15段が限界です。
ということは、1マス分の保管スペースを1年分あなたにお譲りすることになります。
その1マス分があれば、1年間で弊店は何袋の玄米を仕入→保管→販売→仕入…出来るのでしょう?
「お金を払って保管してもらう」ということは、それを賄う金額をお出し頂く必要があるということです。仮に玄米30キロが5,000円と考えて、単純に計算してみて下さい。結構、大きいでしょう?
加えて、あなたの分を保管するということは、事実上あなたの隣の誰かの分も保管するということになります。弊店の場所がなくなるのはあっという間でしょう。
もし、仮に弊店が保管を代行することがあるとするならば、その相手は有事下において金銭以外で協力出来る人に限られるでしょう。お金・金銭は平時のみ有効ですから…
お分かり頂けたと思いますが、今回の結論です。
米屋にお金を払っても、保管の代行は難しい。
米屋に出来るのは、有事下に於いて常連さんに優先的にお米を販売するという辺りが関の山。
備蓄は個々人の裁量で、自身で管理・保管出来る範囲内が原則。
なんだか救いが無くなってきた感じもしますが、次回からは「ではどうするか?」を考えていきます。
次回のテーマは、いよいよ表題である「一般家庭で出来る現実的な米の備蓄方法」です。